アート見て歩き〜小泉明郎 CONFESSIONS

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京都芸術センターで27日(日)まで行われている、小泉明郎の映像作品展「CONFESSIONS」を見に行きました。タイトルの通り告白をテーマにした作品です。

南館の「忘却の地にて」は、第二次大戦時に服役した日本兵の証言を、事故で記憶障害を抱えた男性に記憶させ語らせるものでした。
兵士が少年を殺害しなければならなかったトラウマという深刻な内容とともに、男性がそれを思い出そうとする時の苦しみ、呻き声が相俟って、虚しく沈鬱な劇性が醸し出されています。

北館の「最後の詩」は、複数の匿名の人が、心の底に隠された様々な思いを告白するもので、断片化された声と目まぐるしく移り変わる街の雑踏、騒音が渾然となって、見るものに緊張感を与えます。

告白の内容は誰でもが抱えている欲望や恨みや怒りですが、それが嵐のようなコラージュによって誇張されています。反対面では覆面をした人物が同じように、自らの秘密の告白を行っています。

誰もが、似たような、そしてまた特有な悩みや欲望や絶望感を抱えて生きていることは、私たちは日頃なんとなく知っているつもりでいながら、自分のそれのように生々しく感じることはないでしょう。映画では、そういうものがある価値あるものとして称揚され、誰もが共感できるストーリーとして物語られる故に、生々しさや切迫したトゲトゲしさは後退しますが、小泉明郎さんの映像では、バラバラに噴出される、孤独な人間の内面がギラギラと輝き、生々しく、力強く伝わるのが素晴らしいと思いました。

芸術センターを後にして街へ出ると、通り過ぎてゆく人々の一人ひとりの声にならない心の声が、聞こえてくるような気持ちになりました。

南館 忘却の地にて より
南館 忘却の地にて より

北館 最後の詩 より
北館 最後の詩 より

アート見て歩き〜前田紗希・松野木望会 二人展

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アート見て歩き〜前田紗希・松野木望会二人展 「普遍的変化」ギャラリー知

ギャラリー知の前田紗希さんと松野木望会さんによる二人展を見て来ました。
共に京都造形芸術大学の卒業生ですが、それぞれ洋画と日本画を描く若手です。
現代美術においてことさらに洋画だ日本画だとジャンル分けする必要は今更ないのですが、それでもやはり絵画としての特質はあるわけで、そんなふたりが知のような本格的なギャラリーで一緒に展覧会をするのですから、余程お互いに共感するところがあるということなのでしょう。

成る程、作品はそれぞれの壁面に隣合わせて展示されていますが、違和感はなくて、そのミニマルな佇まい、ブルーを基調としたシックな色彩、直線による画面構成などが心地よく響き合っています。

しかし個別に見てみると、作品の持つ性格はむしろ対照的です。前田さんの作品はジグザグに鋭く起立する線によって、外界から遮断された、凝縮された抽象空間を作り上げているのに対して、松野木さんの作品はどこまでも、無限の彼方へと溶け込んで行くような広がりを持っています。その辺りのコントラストもまた、このふたり展の見所になっているのだと思います。

それぞれの作品の表面のマチエールも、写真では分からない工夫が凝らされています。前田さんの画面に散りばめられた凹凸は、鋭さを和らげるような温もりを。松野木さんの、和紙によるムラもまた、フラットな画面に独特の、光の質量なようなものを纏わせているようでした。

シンプルに描くことの背後にある熟成された思考や感性。控えめな中に追求される平面としての強度。その辺りのバランス感覚が、ふたりに共通するものなのかもしれません。

11月27日(日)まで12時~19時(最終日は17時まで)


展示風景

前田紗希

松野木望会

いのくま亭 京都 2年間の軌跡 3

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2015年9月は山内雅裕さんの個展、10月は井上裕葵さんの個展を行いました。山内さんは線を活かすために彩色を抑えた新鮮な作品を、井上さんは写真を転写した布の上にペインティングするという大胆な作品を展示して、お客様から沢山のご好評をいただきました。
11月には山原晶子さんの2度目の個展を、12月には繁田友香さんの個展を行いました。山原さんの作品には現実と非現実の世界との響きあいが、繁田さんの作品には視点を変えて見たときの物事の意外な表情が現れており、いずれも絵画ならではの面白さに満ちたものでした。
2015.9 山内雅裕 個展

2015.10 井上裕葵 個展

2015.11 山原晶子 個展

2015.12 繁田友香 個展


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