松本さやか 個展「STROKE」について

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松本さやかさんの個展が決まったのは、実は今年の7月のこと。國松千裕さんの個展を見にいらした時に(國松さんは京都精華大で松本さんの後輩にあたる)、スケジュールが空いているのだがどうでしょうと申し上げたところ、すぐさま了解を得たのでした。
私は昨年クンストアルツトさんでの個展を見ており、また堀川団地でのグループ展「反響定位」も見ていて、松本さんの山をモチーフにした銅版画作品はとても好きだったのですが、まさかそんな急な話を受けてくれるとは思っておらず、とてもラッキーと思ったのでした。

今年の春、松本さんは大学を卒業して、銅版画を制作することがそれまでのように容易ではなくなりました。設備の面もあったし、仕事も忙しかったこともあります。ただ、それ以前から彼女は「刷られたもの」だけを作品として鑑賞されることになんとなく違和感を感じていて、そのもとになる銅版そのものを作品として捉えられないか?という考えを抱いていたようです。

銅版画を刷れない代わりに、松本さんは山のドローイングを熱心に描くようになります。心のままに、感じるままに描かれたノートは春からでもう5冊にも積み上がりました。その中で、銅版を削っていたニードルの動きとペンの動きとが重なり合い、独特の鋭く、ニュアンス豊かな線が生まれてきています。
本個展「STROKE」には、紙に描いたドローイング、そして厚さ0.1ミリの薄い銅版を彫ってパネルにしたもの、そして通常の銅版画に使用される0.8ミリの銅版を彫ったものを展示しています。
それぞれが松本さやかというアーチストの現在の思考と身体を物語る、大変興味深いものになっています。本人もそれらの展示を見て、改めて思うことも沢山あるようでした。

来年の2月にはクンストアルツトでの2度目の個展を予定している松本さん。今回の「STROKE」を見ておくことで、次への興味が更に大きくなることは間違いありません。

http://galleryinokumatei.jimdo.com

松本さやか 「STROKE」アーチストステートメント

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「圧倒的な何か」に出会ったとき、わたしは気圧され、その何かに吸い込まれたような感覚を覚えます。そしてこの心を震わせる感覚は、いつも作品をつくる原点として存在しています。

   わたしは山を見つめると言葉にし難い、様々な感情に駆られます。それは尊さや恐怖感、奇妙さ、凛々しい姿への憧れなど、全く統一のされていない、様々などこか交錯した感情です。このような感情を覚えるのは、わたしの中で無意識的に山岳信仰に近いものが生まれているからだと思います。時間をかけて変容していく山を、わたしは生き物として捉えます。そしてその変容こそ、山の呼吸であり、生きている証だと考えます。
    わたしの描く山は存在しない、空想の山です。「現実には存在しない山」に自身の呼吸とエネルギーを刻み込みます。また、山を概念的に描くことで空想上のものであることを伝えると同時に、「風景ではなく、「生き物」として山を感じてもらえるよう、表現できればと考えています。

松本さやか

松本さやか 個展「STROKE」

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松本さやか 個展「STROKE」
9月22日(木・祝)〜10月9日(日)
13:00〜18:00
*月〜水 休廊
ギャラリーいのくま亭 京都
〒604-8342
京都市中京区猪熊通六角下ル六角猪熊町603
Tel:090-2446-0186
Mail:inokumatei-kyoto@emobile.ne.jp

【松本さやか アーチストステートメント】

「STROKE」という言葉はとても多くの意味を持っています。その中でも本展では、一筆書き・鼓動・ある人の存在や価値を認めるための働き(心理学での意)という、3つの視点から「STROKE」という言葉を捉え、わたしの描く線とその意味を重ね合わせています。
   描かれるストロークは、イメージを映す媒体によってその関係性と表情が異なります。紙に線を〈重ねる〉ことと、銅に線を〈刻み込む〉ことでは、同じ線を描くという行為であっても真逆の行為です。描くと刻むを繰り返しながら、絵画と彫刻の狭間を考えます。
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